第五一五回 聖者たる行進! 今再びの激闘編。


 ――革命の日。それは令和三年の七月二十二日。その暁は遂に訪れた。



 オリンピックよりはその翌日より開催。予選が行われる模様がテレビに映っている。それはパパのお部屋。通りかかると「おはよう」とパパ。爽やかなスマイル……


 それからは「おはよう」と交わされるワード。


 お母さんとお祖母ちゃんと、ママ……美津子みつこさん。そして洗面所で顔を合わせる梨花りかお姉ちゃんと。同じ水回りスペースの浴室で洗いっこ。朝シャンタイムを満喫した。


 この数時間後には激戦が予想される朝だけれども、


 いつもと変わらないアットホームな展開。この家族が揃って出陣するの、ウメチカ戦の会場へ。パパの運転するお車で。二体のコンテストへ出展するバンプラも率いて。



 オリンピックの開催期間は十七日。第二次ウメチカ戦の開催期間は四日間。なので、一足お先に僕らは開催を迎えるの。無観客にはならないこの企画……デパートメントを兼ねるドバシカメラは、観客=お客様ありきの設定。だからこその徹底した安全性だ。


 午前の風を切って、お車は走る。


 早朝からの蝉時雨の調べは、いつの間にかアーバンスタイルの空気へと変化する。ゆったりとした空気からの変化に、僕の身は引き締まる。一人称は『僕』でも、華奢で小さな身体の女の子。対するは空手を嗜む男性や、史上最強の腕力を持つ女性などの強豪ばかりだ。それはそれは会場に入ったのなら、一目瞭然だ。


 基本は現地集合。其々の出陣を考慮しての行いだ。


「よお、遅れず来たな」と、パートナーの太郎たろう君に、「逃げずに来たようね。今年はボコボコにされるのは、あなたたちの方だから覚悟してね」と美千留みちるとその面々。去年と変わらず四人組。受付へと道行くその中で、瑞希みずき先生と佳子よしこさん。そして車夫しゃふさんと野口のぐちとしさんと……女の人? モデルさんみたいで綺麗……何らかの軍隊みたいなチームまでも。その奥にいたの。梨花の表情がパッと明るくなったから。そこに、可奈かながいたから。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る