第五一三回 暫しの平日は出陣を兼ねる。


 ――雷と雨のコラボ演奏も止み、嵐は去ったの。十九日から引き継ぐ平日の静寂。



 それも束の間で、革命と銘ずるならば明日は乱される。その中で、新たなる道を築き上げることこそ物語。この度の『第二次ウメチカ戦』の特徴とも言えることだ。


 ならば今、嵐の前の静けさと位置する。

 ここからが本当の嵐なのかもしれない。


 親しい仲での、以前までは同じクラブの同志だった葉月はづきちゃんも、……そして実はいうと、太郎たろう君との師弟関係でもある怜央れお君も、四連休が始まったのなら敵なの。


 対戦相手の域……


 しかも強者だ。僕よりも最強と思われる太郎君と互角。予想するに、太郎君が負けない限り最後まで残りそうな対戦相手だ。なら醍醐味とは、その師弟対決にある。



 ――でもその前に、


 他の対戦相手も気になる。油断のできない強者ばかりが集った。車夫しゃふさんと野口のぐちとしさんのコンビ。車夫さんの真空回し蹴り……という名前かはわからないけど、それだけでも皮一枚程度の差で、極めて危険な勝利だった。しかも野口俊さんとは対決していなくて、その力量も未知数。さらに美千留みちるも、僕のことを研究しているはずだ。攻略法も、こうしている今も編み出しているのかもしれない。もしかしたら車夫さん以上に、怜央君以上に強敵になっているのかも? そう思うと、先の見えない戦いとなることは必至。


 思考の中では、果てしなく広がる世界観。


 けれども、第一回もそうだった。未知数なのだ。稽古不足は否めないけれど、いつも未知数な戦い。初陣の戦いなの。喩えるなら通学路を歩むこの先、毎日の出来事に変化があるように、ウメチカ戦だって変化があるのだ。朝の日差しに照らされながら登校するように、慄くことなかれだ。今はもう楽しい学園生活なのだ。昔とは違うの……


 そう思うと勇気が溢れる。一人ぼっちではなく君と、君たちと一緒に歩むのだから。



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