第五一一回 ウイークエンダーの集まり。


 ――それでも、まだ治まらない脈打つサンダーボルト。時を待ち焦がれるの。



 皆が集うこの場、星野ほしの家の中でも梨花りかのお部屋が拠点となる。その作業内容は、机の上で処理されるパーツランナーの組み合わせ。四人の手で一つの作品が作られるの。


 決戦の金曜日から、四人揃ったスタート。


 梨花とパートナーのせつ。そして僕とパートナーの太郎たろう君。思えば百合とカップルの組み合わせという異色なもの。しかしながら親しい仲のお友達。


 梨花の真剣な眼差しとは裏腹に、……申し訳ないのだけれど、僕は皆で楽しいのが大好き。やっぱり笑顔弾むバンプラ作りの方が、僕は大好きなの。だから太郎君に……



「僕のバンプラも出展していいかな? 作るの手伝ってくれる?」


 と、話を持ちかけたの。そのバンプラとは体育座りが印象的な、まるでクマさんのようなMS。「ロボット」って言ったら、梨花が真っ赤な顔をして「違う、MSだよMS」と怒るの。……何だか最近、梨花が怒りっぽくなったような気がするの。そう思いながら梨花を見ていると、摂が僕の耳元で、


「気にしない気にしない。私にバシバシ……その、頑張って受験勉強付き合ってくれてるから、……まあ、バンプラがストレス発散になってくれてたらいいけど……」


 と、言ったの。……それって何だか梨花の方が押されているみたい。摂に教えているお勉強によって、逆に梨花の方が教わるなんて。思わずプッと、笑いが漏れちゃったの。


「こらそこ、何? 今笑ったでしょ?」


 と、ギロッと睨む梨花。確かに僕は耳元が弱くて、くすぐったかったのもあるけど、


「楽しくやろうよお、皆で作るなら僕のバンプラも一緒に作ろうよお、バンプラ楽しいって梨花でないと僕はヤダ。摂だってそうだよ、太郎君も。楽しきやりたいの」


 梨花の表情は変わる……僕が思うにハッとしたようだ。


「そうだね、千佳ちかの言う通りだね、楽しきなきゃね……」と、梨花は繰り返していた。



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