第五〇七回 青く、午後三時の窓辺から。
――ダッシュでお家に。それでも雷鳴とどろく風景の中で、雨が勢いを増した。
夏を迎えるためのスコール。最寄りの駅から自転車で、あと五分の所で惜しくもずぶ濡れとなった。制服も下着まで何もかも……明日も平日で登校日だけれど、幸いにして夏服だから、洗濯機で大丈夫そう。なので、颯爽と脱いで浴室へ駆け込むの。
兎に角、汗と雨のコラボで心地悪く、
水に……いやいや心臓がビックリしちゃうから、お湯に流す。今はもう人肌の温度に調整している。思えば、
それまで、あまり関心がなかったから。
でも今は、昔と違って下着の汚れも気になるようになって、特に今日は、お久しぶりに
お家には、今誰もいなくて、
だから出たの、玄関のドア開けて……するとね、太郎君もずぶ濡れだったから、
「……悪い、シャワー中だったな」
察しの通り、僕は裸のまま。でも、もう何回も見られちゃっているから、慣れって怖いもので……と言いたいところだけれど、やっぱり全部見られちゃうのは恥ずかしくて、
「あの、僕だけ裸じゃ恥ずかしいから、一緒に入ろっ、太郎君も」
と、思わぬことを言ったの。顔からは火が出そうだったけれど、太郎君は真顔で
「照れ隠しにしても酷いなあ。……まあ、お互い出陣の儀ってことだな、ウメチカ戦の……」
「うん!」と、たぶん恥ずかしさを超えるほどの満面な笑顔となった僕。
照明がなくても、まだ明るいお家の中。
浴室は一階。太郎君の手を取って軽快な足取り、そして洗いっこに転ずるの。『身を清める』という表現よりも、もっと気軽に『ピカピカ』になるという表現。
来たる第二次ウメチカ戦を、十倍楽しめるようにと、パートナーのこと全てを確認するようにと、洗いっこに講ずる。お月様の時間にはまだ遠いけれど、今この時なのだ。
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