第四九九回 キラキラなお星様。
――それは甘い調べ。天空に輝くお星様の魅惑に誘惑。
そこは芸術棟……
なのだけれど、見たことのない光景で、お空が少し近くなった場所。
「ここって……いつも閉まってるよね?」
「まあ何でか鍵を持ってるの。職員室に行けば置いてあるのよ」
僕の問いに胸を張り、腰に手を当て仁王立ちな
「
可奈は紹介した。可奈の傍らにいる背の高いスマートな男子。とはいっても、それなりにガッチリしていて、可奈をお姫様抱っこするには充分な体格と思える……思っても、間違っても言葉にしてはいけない。思っただけでも、赤面に値する恥ずかしさだから。
「
とは言いつつも、一文橋さんは笑みを浮かべていた。怒ったわけではないらしい。ところが可奈は可奈で「今日は特別。彦星が織姫と会えるまたとない機会だから。私に免じてねっ」と愛嬌を振りまく始末で、……どうやら常習犯のようだ。
芸術棟の三階よりも上の世界。雲の上とまではいかないけど、天空と繋がる場所。近くて遠いこの場所に、可奈は僕らを招待してくれた。ナチュラルなプラネタリウム。溌剌と可奈の声が響くの。いつものお昼休み……朗読する葉月ちゃんのポエム。
少しお姉様な声。その声を用いて梨花に、そっと一言……
「百合の関係ではなくなるけど、親友……ましてや私たちは姉妹。恋人には別れはあるけど、私たちは未来永劫。……見て、このお星様のような関係だからなの」
キラキラ瞳。梨花は「うん……」と頷いた。
初めての、芸術棟の屋上での一コマをキラキラと飾ったの。
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