第四九三回 お空は快晴! 終わり良ければ総て良し!


 ――そう。そのはずだった。



 しかしながら、お空は曇り空……雨も降っているような気もした。それは梅雨の終わりなのか? 将又、何らかの終わりなのか? 終わりだけが、悪かったの……


 僕は飛び出した。

 青春から……ではなくて、学園から。



 したがってまだ、終わりを迎えていないのホームルームは。僕は期末考査の最後の試験を終えてから……いや、正直に言うなら抜け出した。息が詰まりそうだったから。皆余裕綽々で回答を繰り広げている様子だけれど、僕は冷や汗が……答案用紙に落ちる。


 それが、数学の試験だったから、余計に。


 回答できたのなら、教室を出ても良しというルールだったけれど、時間ばかり過ぎゆく中で、できてないけれど、僕は席を立って、歩み教室を出ただけでは済まず、お外にまで……正門から外へと出た。そのあとのことは知らないし、もう触れないから。



 ――何故そうなったのか?


 梨花りかが僕を見て、僕が試験前の復習を行っているのに対して、一言申すの趣だったけれど無言で……ただ、じっと見るだけだったから、今さら勉強しても無駄……平生やっとけば良かったんじゃないの? と言わんばかりの、そんな表情。迎える試験、そんな梨花の表情が僕の脳内を支配して、さらにマスクだからすぐに酸欠。……目も回るほど、忍耐も恐ろしいほど弱くも、心当たりはそんなところ。


 無性にむしゃくしゃして、そのまま電車に乗った。学園の最寄りの駅は四駅だけれど進行方向も、考えもなく飛び乗った。気付けばお家とは逆の方で……脳内はもう真っ白。


 数多くの無数の点が、視界に広がって……


 赤と白が木目細かく、周囲の音も何やら話し声も遠ざかって、キーンと……



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る