第四九二回 明日は六月も末日!


 ――楽しい時は、時間の経つのが速いもの。



 日曜日の午後を皮切りに、夕方の国民的なアニメをもって拍車をかけてくるの。そこから月曜日……登校したなら、思うよりも普通で、もう中学生の日常的な生活。



 今の現実は優しく、日向にいるようだ。


 もう過去は遥か彼方に……後ろ向きになれない程の充実感が、僕の周りにあるの。


 今日は二十九日。明日でもう六月も末日……つまりは三十日。本年も上半期から下半期に入る。その前に、期末考査は予定通りにあったの。そこに予定の変更は存在せず、勉強不足を幕は待たずに二日目。……でも、学園滞在時間は少なく、午前中のみ。


 速やかに帰宅するなり明日の試験の予習復習という展開になるのだけれど、僕は少し異なるの。芸術棟に足が向いて一人……

 の、はずだったけれど、ごく自然に集まりて面々……


 梨花りか可奈かなも。

 そして葉月はづきちゃんまで。芸術部は活動お休みのはずだけれど、葉月ちゃんにとっては第二のお部屋ともいえる此の場所。そこはかつて、令子れいこ先生のお家の一部だった……



 アトリエは、その呼び名も名残なの。


 そして今は、葉月ちゃん専用の部室ともいえる程、もう定着していた。


 西原にしはら財閥さんが、この芸術棟を学園に寄付したのも今日この日のためだったのかも。そこで青春を描く僕らに残してくれた宝物。……なら、もっともっと伸び伸びと。葉月ちゃんたちが心ゆくまで描けるような、そんな環境を守っていきたいこれからも。


 その思いはこの窓から、


 見える景色。西原財閥さんの御城ともいうべき、琥珀色の夢の御家。そこはこれからも語り継がれる御城。跡取りを手にしたそうだから、この学園のスポンサーは。

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