第七十章 変わりゆく世界観へのカウントダウン。

第四八九回 そよかぜとお戯れ!


 ――執筆を挿んで二度寝三度寝。その末に、落ち着いた午前の陽射しを迎えた。



 この度の週末が明けたのならば、期末考査が控えている。一学期末考査……


 そこを越えたら夏休みだけれど、……そうねえ、


 気は抜けないの。僕は予定通りに進んでいるのだけれど、高等部への進学の準備。同じ学園だからといって決して何もないわけではない。進学するための、受験は用意されている。平等、或いは不平等なのか、それなりにということで。


 梨花りか可奈かなも、僕と同じ。



 しかしながら、太郎たろう君とせつは、……多分それ以上に受験勉強が求められる。学園の中等部のような内部の生徒は、ほぼ進学のための試験だけれど、他所の中学生は、普通の高校受験と何ら変わりないの。だからこの間の、偶然にも面々が揃った淳一堂で、


 ――参考書を購入した。私立大和やまと中学・高等部学園の専用の物を。……七月の、この度は二日間に渡り行われる『第二次ウメチカ戦』のその向こうには、本格的な受験への戦いが始まるのだ。それでも僕は、太郎君と一緒。手を取り合うそんなイメージ。



 ただその前に今日は、


 ……ぼんやりとした一人の時間。緊急事態宣言が解除された今、まだ蔓延防止の最中だけれど、ある意味、立派な理由の揃った外出。電車に乗って、向かう目的地。


 快晴とは少し離れた曇り空。その下を、そよかぜとお戯れ。


 一人歩く奥の細道。ゆったりと温泉へ、リフレッシュが最大の目的だから。今は夏と呼ぶには一足お先の六月の下旬。まだ梅雨と呼ばれる今日この頃だけれど、一人が二人となるの。スーッと現われ、芭蕉ばしょうさんが一緒に歩いてくれる……「こんにちは」と言葉を交わしながら。笑顔もまた然りで、「じっくりご堪能あれ」と大自然の中にある温泉。ぼんやりするお空と、暑すぎない気温。脳内に残るこの状況は、本当に……



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