第四八六回 二日目の葉月ちゃん。
――ゾッとする内容だった。僕は知らず知らずに傷付けていたようなの。
それはPCの画面に繰り広げられていた。……六年前のことだ。確かに僕は、お母さんと喧嘩してお家を飛び出した。その行方は、秘密基地。涙は止まらなかったの。
お家では響く電話や、怖い大人の男性の怒鳴り声で、
それでも毎日毎日……お母さんの帰りは深夜に及ぶ。記憶から消える程の……きっと沈んでしまっている言葉の数々。涙は、ストレスをリセットする効果があると、後に何処かのテレビ番組で聴いたことがあったのだけれど、この頃は……募るばかりなの。
喩えるならインプット。
借金取りの罵声や、お母さんの怒鳴り声……僕にあたるの。決してアウトプットのない世界。だから、いずれ破裂しちゃうの。――きっと僕は、
僕の出た言葉で、その当時の
幼いながらも一生懸命に、
励ましてくれていた葉月ちゃん。……大泣きしちゃったの。まだ小学二年生の女の子なの。いくらガキ大将の風格があっても、普通の子供なの。その頃、僕は小学三年生……
同じプチ家出でも、その理由が重かった。
小学三年生の女の子は、……もっと我儘な理由があってもいい。
本当は、誰かにそう言ってほしくて、甘えたかった。喩えるならパパ。――どうしてパパがいないの? って、僕はお母さんを責めたようなの。記憶から脳内の奥深くへと沈むほど、その場面は消えていた。それでも残るの。フラッシュバックを繰り返すから。
去年の学園で会った時、
お互いが初対面と思っていた。……なぜなら、あまりにも変わっていたからなの。
きっと、あのころの面影をも、お互いの脳内に沈んでいたから。それでも蘇る記憶はフラッシュバックという形で、所々現れていたと思えるの。思えるから……
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