第四八五回 千佳の六月二十二日。


 ――今宵もまた執筆。彷徨える心は少々あるけれど、心はまっしぐらに向かうの。



 未来予想図。或いは未来の地図。そして十五の夜までは、もうカウントダウンの域に入るようだから。もう迷わないことにするために、また執筆。


 限りのある僕の青春……


 今この時を書き留める旅路。千のストーリーズへの航路。それは今宵、新たな驚きと出会うこととなった。そこに秘められた思いと発足と。……ハヅキミクスなの!


 そう題していた。今宵よりのスタート。

 誰が執筆したのかは、察しの通りなの。



 僕を目標としている彼女。PNペンネームは『はづき』としていた。なので、ネーミングセンスのなさも星野ほしの系統の影響なのだろうか? 梨花りかを始めとして僕も、本名まるわかりだ。


 でも三人が三人とも、

 気にした試しがない。それもまた、僕らの個性だから。


 結局は、葉月はづきちゃんのポエムを朗読するに至らずだけれど、……それでも彼女は、笑って僕を送り出してくれたの。そして、実はいうと、葉月ちゃんはもっと前から、


 ――僕のことを知っていたという。


 同じ学校だったそうなの、小学校。その出会いは六年前……


 何でも集団登校で一緒に通っていた。思えばまだ、今のお家よりも前の、最寄りの駅の近くのボロアパートよりも前の、……四駅の付近に住んでいた頃に遡るの。


 その時も貧乏だったけれども、あの頃の……いじめをまだ知らない頃のお話。まだお母さんが見えていた頃、嫌いになっていなかった頃。……でも今は、大好きだからね。


 その頃の葉月ちゃんは、まだ眼鏡もしてなかったし、思えばごく……少しばかり男の子みたいというのか、でも、その頃から頑固な子だった。秘密基地でも一緒。ある意味ではガキ大将の風格で、……やっぱり今の葉月ちゃんからの連想は、やや難しいようだ。



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