第四七九回 よまよまイエーイ!


 ――のまのまはお酒ではなく、あくまでお茶。とくに綾鷹が好みなの。



 炭酸系は、あまり飲まないの。よく言われるの、梨花りかから「千佳ちかって、コーラーとかサイダーとか飲まないのね」って。……実は実は、炭酸が苦手だからなの。


 そして漫画は大好き。そこに行けば、参考書だけではなく漫画もあるの。ライトノベルもいっぱい。……その世界を知ったのはね、ティムさんに会ってからだ。



 出会ったばかりの頃、よく連れて行ってくれた……例えばここ松坂の殿堂。その中にある淳一堂。そこに並ぶ本たち。そして今、僕はエッセイを執筆している。


 そこで会うのだ。――せつと、それに梨花。するとね、僕は僕はね、「梨花、何で起こしてくれなかったの?」と、いうのが梨花に対する、本日の第一声となってしまったの。


「……あっ、千佳が、とても気持ちよさそうに寝てたから」


「おかげでね、裸見られちゃったの、太郎たろう君に。

 ンンッ……でも、初めてじゃないし、何度も……ソフトクリーム奢ってもらったし」


 って、僕は何言っちゃってるの? お顔も熱々なのに、サーモグラフで引っかかっちゃいそうなほど。でも、でもね……何でか、それを期待していたような……って、益々意味不明だよ。するとね、摂が言うの。


「ラッキースケベだったね、太郎君。

 千佳も期待してたようだしね、恋人の裸は見ても大丈夫だから……ねっ」


 ――ボン! 頭の天辺からの噴火、或いは白い煙が噴射。僕も太郎君も呼吸もピッタリに効果音を上げて、恥ずかしさを破裂させた。また喩えるなら、鯨が潮を吹くように。


 クスッ……と笑う摂。どれだけお姉さんなのかと思ってしまう。こう見えても、僕らとは同級生。同級生でも、可奈かなが一番年上で、太郎君が一番年下……ということになるけれど、実際はどうなの? 僕らは、摂のお誕生日を知らなかった。でも今は、その前に読むの、ご本たちを。だからこその、よまよまイエーイ! の御時間なのだね。



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