第四七二回 シャフにおまかせ! 其の二だ。


 ――シェフ・・・ではなくシャフ・・・なので、尚且つその第二弾なの。



 この度の来訪者。目上の男性で、初めて……ではないにしても、あまりよく存じなかったにも拘らず、お部屋まで御案内した。女の子のお部屋。一人称は『僕』だけれど……


 そんな僕でも、一応は女の子だから。


 しかしながら、誠実な男性。純粋に、℮スポーツでの対戦を求めていた。


 颯爽たるPS4・5の軌道。……実のところは、オンラインでも対戦することはできるのだけれど、僕の大切な会員証を、御親切に手渡しで届けてくれたこと。何よりも、僕のプライバシーを守ってくれたこと。本当に、溢れるばかりの感謝の思いで。


 だから、御礼なの。丁重に対戦してあげるの。

 それが僕の、車夫さんに対しての、心からの、お・も・て・な・し……


 京の都大学院で医学を学ぶ者。極真空手の心得ありの、車引きを副職としている。車引きのことを車夫と呼ぶのだけど、この人の名字が車夫しゃふで、下の名前が杜生もりおという親しみやすいお名前で……車夫杜生というのがフルネームとなる。


「笑っても、大丈夫だから……」と、車夫さんは言うの……だけれど。


 とてもとても、笑えない。クスッ……と漏れそうになるのだけれど、今は集中! 全力をもって、我が魔法少女のアバターで戦ってあげる。


 対する車夫さんのアバター、またゲームキャラは、やはり空手家の趣で、その名も『車引きの車夫』と名乗っている。掛け声も充実して「シャオ!」と、美声がこだまする。


 やはり車夫だけに、シャオ! なのだろうか?

 思うよりも強敵だ。掛け声だけではなく、技の切れも……って、本当に切れている。


 僕のアバターに切り傷が……


 前回は多分、なかったと思われる技。すると、笑みを含めながら車夫さんは言うの。


「どうだい? 南十字星の我が究極の極意は? 切れ味こそが命」


 その台詞の通り苦戦を強いられる。(考えるんだ千佳ちか)と、僕は自分に言い聞かせる。



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