第四六五回 ……何とか行けるものなのさ。
――それは月曜日の朝。学園へ登校すること。五日間の平日の始まりということを。
日曜日の午後からの憂鬱。そして夜は夢のように明けた。
時間の流れは速いと感じ、そして鼓動も速く、胸騒ぎも頻繁に……何が不安なのかも解せない程に繰り返されるの。脳に広がる黒い雲の存在は、何ものなのか?
しかし朝が来れば、
倦怠感はあるにしても、お外に出るなら見慣れた風景に、やや安堵の思いに浸る。その見慣れた風景の中にはね、僕が一人ではないという確かなものがあるの。
一緒に登校への道程を共にしてくれる仲間たち。心強い存在だ。
僕がウメチカを始めるきっかけも、この子たちと出会えたから。……そう。ボッチで明日の見えなかった僕のすべてを変えてくれた。その思いをウメチカにしたためてきた。
それがこれまでのウメチカだった。
そしてこれからのウメチカは、人の足元を照らす存在に。
――以前の僕と同じように、月曜日が不安でいっぱいな子に安心を与えられる存在になりたい。でもそれは、今決めたことではない……なかったのだ。小学校の時に思ったことと、ちょっぴり素朴な疑問と。――例えば嬉しい時、僕だけが喜んでいたのでは後ろ髪を引かれるような思いになる。お友達が悲しければ、僕も素直に喜べない。心から喜び合えるような日々を、僕は迎えたい。その様な境涯になりたいと、ずっと思っていたから。
執筆も、そこから生まれたの。
梨花が僕を元気にしてくれたように、僕も梨花のように人を励ましたい。
だから僕は……
梨花の妹であることに誇りを持っている。だからね、
――ありがと、梨花。今日の登校も、学園に入ったら思っていたよりも普通だった。
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