第六十六章 そして、千里の道も一歩から。

第四六四回 ゼロから一歩へと繋がった日。


 ――それは青空に、小鳥が羽搏くように。



 例えば土曜日。僕は電車に乗った。車窓から見える景色は、初夏の彩りなの。


 不要不急の外出自粛の中にあるけれど、ぼんやりした旅路。……一応は京の都に向かっていた。急を要するわけではないけれど、そうしないと心が。



 インプットばかりした状況なので、まずはアウトプットへ。負の感情を吐き出すための場所を求めている。それはまた、ゼロから一歩を踏み出すための大切な儀式だ。


 閉館していることは百も承知だけれど、

 でも、それでも駆け出したの。鉄道博物館が見える梅の小路へ。


 ルートは嵯峨の線。以前は三十分に一本だったけれど、今は十五分に一本になったようだ。少し前……三月九日の、登校中のエスケープした時には気付かなかったけれど、交通の便には革命たる変化があった。そのことは、僕の心にも大いなる影響を与えたの。


 そして見えるゼロ系……


 この子に会うことが、この度の目的だった。


 お部屋を走る模型とは一味違うリアル。そのスケール感。……モノトーンだった心が弾けてハイカラになる。それはまるで白黒から、カラーへなる歴史を再現するように。


 ゼロ系は、その象徴ともいえる誕生の時期。


 昭和三十年代の最後を飾りつつも、四十年代の幕開けを飾った。ウルトラ・タロの元祖でもあるウルトラのマンのカラータイマーも、その象徴に含まれると、僕は新解釈。


 いやいや、僕なりに解釈してみた。

 するとね、少しずつでも書けるような気がしてきた。今再びの、僕のエッセイを。


 されど心の整理には、或いはお洗濯するには、


 もう少しだけの時が必要だ。いつもの自分になれるまで、もう少しの時を。……やがて時は来たれりで、千のストーリーは幕を開ける。その時を元気に迎えるために……



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