第四三四回 ついに突入! 五連休の調べに。


 ――奏でるメロディーは、きっと鯉のぼり。僕は歩む、あの日の約束を果たすべく。



 もう見慣れた景色の一部。桜並木もすっかり緑の皐月模様……そして緑の深呼吸も兼ねる。見上げたらね、明暗分けるお空の模様。快晴でもあり曇り空でもあり雨雲までも。


 とにかく表情豊か。

 そう明るく前を行くの、僕は。


 だから着ているお洋服は軽快で明るい色彩。黄色は欠かせない僕の大好きな色。黄色のパーカーの下は、エブリキャラが描かれたTシャツ。青い短パン。靴はジョギングも兼ねるからスニーカーで……って、これっていつもとあまり変化もない普段着の一部。



 それにリュックも。せめての迷彩色……女の子の荷物は男の子よりも多いから。


 それでもできるだけ身軽に、軽やかな足取りで。楽しい場所へ向かうのだから、それもそうなの。以前よりも遥かに、楽しいことで満載。とっても満ち溢れている道程。


 閉ざしていた心はね、あの頃だけなの……

 梨花りかと会う前の自分。あの頃だけなの……


 そして晴れ渡る青空、今まさにその時なの。まだ満足しちゃいけないよ……と、言っていたの。昨日ね、瑞希みずき先生が。芸術棟に於いてのクラブ活動の中でね。僕の笑顔……笑顔の数が増えたから断然、出会った頃とは遥かな違いだから。


 ――「全部やるんです」と。


 出し惜しみ禁止の青春だから、僕の本当にやりたいこと、そしてこの世で果たす生涯に渡る使命を見つけるには、何処に縁があるのかはわからないから……全部やるの。


 僕はまだ十四歳。人生を語るには、まだまだ若輩だけれども、そんなの関係ないないとも、瑞希先生は言っていたの。僕は思う、このエッセイもまたその一部なのだと。


 ――広大に見える景色。


 太郎たろう君のお家に向かう最中で、それを奥深くで感じたような、そんな気がした。



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