第四三五回 聳え立つの! 男の子の節句に。
――それは、五連休の最終日に向けて飾られる。今はまだ、その準備とも思われる。
五月五日の鯉のぼりの日に。
僕らはまだ子供。十代の真ん中よりも、まだ一つ前。……僕も
そこから、実感したの……
中学の最終学年の自覚……
だからね、リュックの中にはお勉強の道具も入っていて、
「
との台詞に至った。それは勿論、太郎君の前で。すると、やっぱり……と言うのか、まあ、わかってはいたけれど、笑われたの。それは、このような台詞で。
「見るも何もって、開始から三分後に寝ちゃって、起こされたの誰だっけ? それに男と女。つまり俺と千佳だけなのに無防備だぞ。千佳だって女なんだからさ……」
「わかってない」
「何が?」
「僕は太郎君にお勉強教えるために、前もって予習復習してるの。……まあ、確かに寝ちゃったけど。でもそれは、太郎君だからなの。太郎君だから安心してるの」
「俺だって男。千佳が目の前に転がってたらな、……男としてだな」
と言いながらも、少し俯く太郎君。
目を逸らし顔も逸らす。ちょっと背伸びしているのが見え見えで。
「いいよ。太郎君なら」
「えっ?」と、太郎君は顔を上げる。目と目が合うの……
「もう僕の全部見ちゃってて、もう僕たち結ばれた仲なんだから。『未来の子供のためにも課外授業』……やっちゃおうと思って、こうして来てるんだよ」
――それはね、聳え立つ鯉のぼりを一緒にね。屋根より高く高くね。
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