第四二五回 ……令和三年四月二十五日から。


 ――発令された。今日この日から、三週間から一か月の間。五月の中頃まで。



 それも厳しめの、第一波とほぼ同じ内容の緊急事態宣言。この度は第四波となる。新型ウイルスによる猛威は過去最高のものとなり、僕らにも影響が及んで、例外はなし。


 不要不急の外出自粛……


 今日の日曜日が過ぎて、月曜日からの学園。オンライン授業とも告示されそうだったのだけれど、その様な設備は……一般の子たちのことを思えば困難なことで、通学は可能となる。但し部活動のお休みは免れなくて、芸術部も、例外ではないということなの。



 従って、僕ら生徒会の活動も、各々のオンラインのみ。内容は報連相。せつ太郎たろう君の学校と、僕らの学園で起きた情報の共有。それによりパトロールの意味合いも賄える。



 でも、葉月はづきちゃんが一番残念がっていた……


 芸術部への正式な入部を遂げて間もなく、休部となったから。……過酷な病との激闘の末に勝ち取った健康な身体。自由に動けること。その過程を経てからの活動、私学展への目標に向かっている矢先も矢先だったから。宥めるのが大変だったと、瑞希みずき先生が零していたほどだったので、僕が思っている以上に、葉月ちゃんの目標における執着は強く、頑固な子だから特にだ。――だから願いを込めるの、強き一念で。緊急事態宣言が一日も早く解除されるように。そして安心して、部活動や、学園生活を満喫できますようにと。


 僕らの方が、葉月ちゃんに教わった。


 芸術部の新入部員は、星野ほしの葉月にもう一人、都築つづき玲央れおがいる。……二人の関係は、まだお互い会話もしたことないほどに、疎遠しているような感じだ。二人とも絵を描いているのだけれど、場所も違えば、顔も合わせることもあまりないの。


 そして僕ら。生徒会の名目上としてジャッジメントに偏り過ぎで、部活動も疎かになり気味で……悩めるところだ。僕と梨花りか可奈かな、この先どうするか、思考するばかりだ。



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