第四二六回 でも、まだ穏やかなるサタデー。
――今日は前日なの。先週、先々週と雨の週末だったけれど、今日は晴れ。
穏やかな気候で、ぼんやりと雲が流れる、白い雲だ。
漕ぐ自転車も良いとは思ったけれど、同じカラーのTシャツと、青の短パンで走っている。少しばかりコースを変えてのジョギングを、できるだけエンジョイしていた。
僕らの住む町、五番町から……
学園近くの千里の町へと、駆けてゆくこのコースは、初めてではないけれども、いつもよりかはボリュームがある。そこに何があるのか? ……僕は模索する。脳だけで思考するのは少しばかり苦手で、体も動かしている。そして少しばかりの、ストレスの解消にも繋がっている。モヤモヤ解消の効果をも齎す、このスッキリ感はミントにも相当する。
ただのミントではない。
炭酸系のソーダ水のような、あの感じ。その末に辿り着く、
「
と、車椅子のイメージとはもう一変した、颯爽と玄関に出る葉月ちゃん。顔色も、もう以前は病人だった面影も消えるほど、元気な子に大変身を遂げたのだと改めて思う。
「ジョギング序に寄ってみたの、突然ごめんね……」
少しばかり息が弾んでいるの。
まだ四月でも、夏に届きそうな気温へと上昇しているような変化も肌で感じていた。
「中に入ります? 冷たいお茶、用意しますよ」
と、ニッコリとする葉月ちゃん。その笑顔も品のある笑顔。お嬢様系なら、摂とも匹敵するほど。……何となくだけれど、芸術部の次期部長は葉月ちゃんのような気がする。
じゃあ、現部長は誰だって?
う~ん、まだ決まってない? 思えばそのような制度自体が、まだ存在していない。
まあ、それは置いといて……
「ありがと、お言葉に甘えまして」と、僕は中へと入る、葉月ちゃんのお家に。
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