第四二四回 避けられない道、通り過ぎると。
――通り過ぎてみると、意外と何とかなるものなの。今ではもう普通の感覚。
だから、きっと大丈夫。
藪からスティックのように現れた、抜き打ちテスト。
実は、実は実は、ちゃんとした理由があるの。急な対応だから仕方のない部分も。緊急事態宣言が発令したため、やむを得ずなの。もしかしたら休校の可能性もある。
……だとしたら、中間考査も危ういから。
今回の緊急事態宣言は、厳しめの方なの。だから……だからね、
早坂先生の考えでは、この抜き打ちテストのより、クラスの皆の学力を知りたいと思ったからだそうなの。それに応じて授業の方向性など、善後策を考えたいと言っていた。
もう少し、芸術棟での語らいの時間を味わいたかったけれども、
食事後すぐ。
それに近い設定で、教室で、そのテストは颯爽と行われる運びとなった。
そのテストを受けているクラスは、中等部三年生全般。……とはいっても二クラスだけだけれど。僕ら三人の席は横並びで前の方。だから、カンニングしようものなら、すぐバレちゃうポジション。けど、そんな気は毛頭ないの。そのコンセプトは、あくまでありのままの学力が知りたいから。カッコ付けの高得点なんて望んでいないから。
だから、
――抜き打ち上等、との思いで挑んでいる。
避けられない道に挑んでいくのも、たまには楽しいと思える午後の風だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます