第四一八回 午前の調べ。夢へと誘う言葉の集い。


 ――多種の言葉、宙を舞う。そしてダンスな音符たちと、そのイメージ。



 目覚める。二度も三度も。……夢現にしっかりとハマる。


 可奈かなが傍にいる。同じお布団。梨花りかではなく今朝は可奈、初めてのこと。こんなに可奈の顔を、息が届くほどの距離で見たのは、出会ってから二年にもなりそうなのに、本当に初めてのこと。しっかりした子で、僕にはお姉さん的イメージだったのだけれど、何だかとっても可愛い。眠る仕草を見ると……それ以前に、可奈の寝顔を見ること自体が御初。


 例えるならね、


 無邪気な子供。……う~ん、普段は悪戯っ子だけれど、眠ると天使みたいって、そんな感じ。そして『チュッ』っと。まるで御約束の。されるような予感はしたけれど、


 可奈の唇が、僕の唇を捉えて……

 そんな中で、可奈は目覚めた。で、ビックリする可奈。



「ちょ、ちょっと千佳ちか、何チューしてるの?」


「可奈が寝ぼけてしたんじゃない。僕が梨花に似てるからって」


「ウッ……私のファーストキッス」


「へっ?」と、驚きを隠せなくて、ツンデレキャラの可奈と思っていたのだけれど、意外な一面を目の当たりにすることとなった。ブルーな趣にまで至る可奈……


「あっ、何だかごめん、可奈……」


「ううん、千佳のせいじゃないし。……うん、これは事故。カウントには至らないから」


 って。そっち? っていうか、立ち直り早っ。……まあ、可奈らしいといえば可奈らしいけれど。――するとすると開いた扉。梨花が訪れた。そして見た。同じベッドの上の同じお布団で僕と可奈。途轍もない密着シーンを。でも、梨花はニッコリ笑みを浮かべて、


「おはよっ」の一言。まるで昨日からのSNSの出来事が夢だったようにも……そう錯覚させるようなワンシーン。でも、やはり現実は続くの。僕らは現実の中にいるから……



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