第四一七回 逃げてゆく、薄紅色の夜明けの頃に。
――戦いは続く。戦いは続いているの。目が覚めても尚。
それは
チカチカだけにピカピカに。
それでもって、ピカピカになったからもう大丈夫よ――と、可奈は付け加えた。
これって、可奈なりの勝利宣言らしい。それとも出陣の心得なのかも。
勝利は下駄を履くまでわからないとあるけれど、……きっと可奈には、勝利のビジョンが見えていたようで、とても自信家なの。恐れず怯まずの趣。
それでも繰り返されるSNSの通知で、
それでも根気強く、対応している可奈。
一歩も譲らずにお互い。でもね、可奈は黙々と……ん? ニヤリと笑っている。
「……もう少しよ、
と、可奈の声が、言葉が漏れる。
すると、非通知。今度は、音なしの着信。……スルーする。するとすると、すると、その二分後くらいに、今再びの非通知、着信。応答の緑のコマンド。えっ? その着信に可奈は出たの。非通知にも拘らずに何の躊躇いもなく堂々たる態度。
「あんた誰? SNSに関係してることは、わかってるのよ。……まあ、誰と訊かれて答えはしないだろうけど、ネタはもう上がってるの。あんたの居場所だって逆探知で、もうわかったの。嘘だと思うでしょ。でもね、私はハッキングが得意でね、……同じ学園の生徒でしょ、しかも男子。……もう素性はわかったから、観念することね。このまま警察に知らせてもいいけどね、一回だけチャンスを上げる。もう今日になっちゃったけど、お昼休みに芸術棟の三階に来て、このスマホの持ち主に謝ること。いい? 破ったらね、即警察に訴えるから。チャンスはホント一回だけだから」――と、可奈は言い放ったの。
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