第四一四回 ――夜の情景。流れ星に想い奏でて。


 ――ベランダから見える景色は、もう夜の帳。駆け巡るのは、一筋の流れ星。



 執筆途上の細やかな……戦士の休息。その先にある求めるもののために、日々戦い挑むから戦士と名乗る。その流れ星は、まさしく今の僕の心情を捉えているようだ。


 今日の出来事により、

 ――僕は、瑞希みずき先生のようになりたいと思った。


 それはそれは、……禁断の恋愛感情とか、僕が瑞希先生に嫉妬しているとか……早坂はやさか先生を独り占めしたいとか……そういうことではなくて、純粋に強い人になりたいの。


 瑞希先生は腕力も強いけれど、

 僕が憧れているのは、瑞希先生の心の強さなの。……実は、早坂先生が知っていた。瑞希先生がまだ、この学園の中等部三年生の時、早坂先生が担任の先生だったの。



 ……そう。彼女はかつて、この学園の生徒で、

 僕らの大先輩なの。そしてジャッジメントでも大先輩。そんなすごい人なの。


 彼女は、お友達を守るために、いじめと闘ってきた人。


 その頃は決して……僕らみたいに表舞台で、生徒会として戦っているわけではなく、一人立つ精神で戦ってきた人。僕らとは対照的。やんちゃな生徒として煙たがられていた。


 ――それでも、

 そんなことは気にせず、ただ彼女は彼女の正義を貫いてきたと……早坂先生はそう仰っていた。その言葉たちが、その込み上げる想いが沸々と、熱きマーチを奏でる。


 そして師弟。


 まさしく早坂先生と瑞希先生の関係は、それ以外の何ものでもないと、そう確信する。


 ……そんな時だった。

 スマホ奏でる通知音。SNSだ。


 僕は見る、その画面。――真っ白になった、脳内までも。



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