第五十九章 エイプリールから始まる薔薇色の奇蹟。
第四〇五回 それは、四月になったら。
目覚めたら、もう四月の入口。……爽やかに薫る風。とても甘い香りが漂う。
伸び伸びと、
そう伸びをする。欠伸も兼ねながら。――するとね、壺の中から薔薇色の煙。
薔薇色は恋の色。でもでもでもでも、僕はもう恋をしている。もうダーリンの域にまで達している。
だから、この日はリボンで飾る。黄色ではなく薔薇色を。所謂ピンクを髪に。お外じゃないから、ルージュも淡く、コスメチックに彩った。そして一人のお部屋だったけど、二人になる。
「可愛いね。グッドだよ」
「えへへ……だよね、素材がいいから」
「じゃあ、僕もだね」
「ウフフ……」と、笑いで埋め尽くされる。まるでお花畑のように広がるの……あっ、それは嘘、嘘なの。広がっているのはレール。走るゼロ系だから。そして準備準備、シアタールーム風に。或いはテーマパーク風なのも良いのかも。着るものは薄桃色のワンピース。長袖で上品。でも、子供っぽさは消えないの。……何故なら、梨花と同じなので、
ギロッ。
怖っ。……颯爽と睨まれたから。
「あっ、あの、全然大丈夫だから」
「なら、いい。……最高に可愛いよ、
ポッと赤くなるのを感じる。同じ女の子なのに、それ以前に姉妹なのに、何、このときめき? やだ、本当にときめいているの、梨花に。胸も熱くなるの。だとしたら、だとしたら
――なーんてねっ。
見事なるエイプリールフール。やっぱり梨花とは姉妹なの。僕にはやっぱり太郎君がマイ・ダーリン。僕は百合ではないから、やっぱりそうなっちゃうの。
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