第四〇四回 そしてね、もう一つの三月三十日。
――それは今宵。もう間もなくシンデレラの刻が訪れる。魔法のような三月。ビッグイベントの『KAC2021』も、お昼で幕を閉じる。執筆を終えた……完走しきったその瞬間に、自然と涙が流れて、思いっ切り泣いていた。この一人のお部屋で。
物語を、そして二度とは戻らぬ、
……その経験の数々。成長の糧は、
深き感動で泣いて、……涙を見せなきゃ大人にはなれないから。でもね、泣き止んでも興奮冷めずに僕は、枕を持参してお部屋を出て、お隣のお部屋へ。そこは
――起きてるかな?
と思いつつも入室する。……黙って。だけれど起きていて梨花が、プラモデル制作……バンプラ作りも一段落を終えたようで、続きはまた明日というような不陰気で、寝る支度を始めていたそんな様子で、僕を見るなり「クスッ」と笑いながら、
「レコード、一緒に聴こうか。お祖母ちゃんから借りたんだ」……と、機械があった。そして円盤を装填し、回る回る。麗らかなる春のメロディーラインが、優しく流れるの。
和やかに……
それでいて、その裏では重き歴史の影を感じさせる。
それは今日の『三月三十日』をテーマとした曲。ならば、KAC2021の第十回のタイトルで、そのオマージュとなるものだ。ヒントは『――
「やっぱり懐メロ最高――」と、声高らかに。
「千佳の曲の好みって、エブリか懐メロ。僕とは少し……いや、かなり違うね」
「そうだね。梨花はロボットアニメ系のカッコいいのが好きみたいだから。やっぱり僕とは、かなり違うよ。……でも、嫌じゃない。嫌いじゃないから」
好みの違いはあるけれど、それでもお互いがお互いの好みも、また好みになるから。
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