第四〇〇回 迎えるこの回、今日の日が記念日。


 ――アニバーサリー。


 降り注ぐ木漏れ日に照らされて歩く、足並みも揃えて。

 そして君との阿吽の呼吸、もう僕の中に備わっている。


 それでも手を繋ぐの……

 その温もりと、その愛を確かめていたいから。



 これからも、この先も、ずっと……君と、ううん、貴方とそんな関係でいたい。僕と貴方の子供ができたのなら、可愛い我が子を真ん中に歩く。ずっと、ずっと……


 ――貴方のパパとママは一緒にいるよ、ずっとだから。


 うん、見える未来図! その頃もまた、この地に来る、きっと。少し未来の鉄道博物館へ。……でも安心して。少し未来といっても、人生百年時代の視野から見るのなら、充分に学生生活における青春を満喫した後で、それはもう大学生まで。そして社会の波に揉まれ、逞しくも成長を遂げながらの結婚。その後のことなので。



 ……まあ、その辺りの人生設計はあるのだけど、


 僕がこの先、何をやりたくて成し遂げたいのか、まだわからぬまま……それは、梨花りかが目指していることのように、または可奈かなが目指していることのように……僕にはまだ、それが明確ではない。まだ好奇心といえるレベルかな? やることなすことが、どれも新鮮で、初めてのことばかりで、まるで小さな子供のように、どれも欲しがるの。


 なら、まだ大人になれず、

 子供のまま……ってことなのかな? どれも楽しくて。


 まだまだ色んな経験をしたくって……と、思っているとね、クシャッと。太郎たろう君が僕の髪を触って、そこから頬も触って、それがとても心地よくて、すると……


「まずはここから。鉄道博物館、大いに楽しもう。――一緒に探そう。千佳のやりたいこと。成し遂げたいことも全部。俺も一緒だからな」と言ってくれたの、太郎君。



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