第五十八章 『祝・四〇〇回』……麗らかな春の調べ。

第三九九回 今はまだ、その直前。


 ――思えばもう、僕のエッセイも四〇〇回を迎え……ようとしている。



 正確には、次回。

 次回がその、四〇〇回目なの。


 さあ、行くよ! まずは春の調べ。その奏でる音の向こうへ。


 鳴り響く汽笛! そのような感じの駅メロ……それは麗らかな春の調べ。新たなるステージ。或いは出会いも募る期待へと心躍る。手を取り合う二人、お互いを見つめ合う。


 場所は選ばず。例えるなら、この電車の中。

 公共の場。国の鉄道、周りには乗客も少なからず、それでももう関係なく二人の世界。


 以前にも増して濃密。……密は弁えながら、暴走も抑えつつ。

 でも小さな胸は、高鳴る鼓動を感じつつも、高鳴る興奮をも抱えてゆくレールの上を。



 その行方は、ウメチカのある『阪の大』とは反対方面。


 まっしぐらに『京の都』へと向かっている。あれは三月九日……僕にとっては、路面電車が大好きなバンド『レミーロメン』の調べが、脳内でコンサートを開催したの。


 だけれど、同じカッコよさでも違うカッコよさ……


 ここにあるの。ホワイトデーで告白した約束の通りに、連れて行ってくれるの。男気溢れる眼差しで僕を見る太郎たろう君が。僕にとってはもうダーリンの域にまで発展して、身も心も知った仲。……いかなる濃密も受け入れる程にまで。


 その様な背景もある中を、


 それを承知な趣で電車は走る。国の鉄道版の『最寄りの駅』から出発し、乗り換え乗り継ぎは一切なしの、まっすぐな思いのままに向かう。鉄道博物館へと。



 冬の終わり。


 そして春の到来を告げる青空を流れる雲は、四〇〇回へと、その天空の門を潜ったの。



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