第三六八回 四人目は――星野梨花。(イメージカラーは桃色)


 ……すべては、

 この子から始まったといっても過言ではない。


 僕と瓜二つ……

 外観は勿論スタイルも、髪質も声質も、そして一人称まで同じ『僕』……


 そのため僕を素通りし、彼女が補導されたこともあった。僕が高額チケットの売り子をしていたから。多分に迷惑かけたお詫びに、学園まで訪ねたことが出会いとなった。



 でも、それは……再会だった。梨花りかは生き別れた僕の双子のお姉ちゃんだったの。梨花には衝撃的なことたっだけれど、正直なところ僕は、安堵の胸を撫で下ろすに限りなく近い心境……というべきか、納得ができた感じの心境。ソックリを越えての瓜二つ、分身ともいえる存在。……それが証拠に、彼女がいつも、僕の背中を押してくれていた。


 だから太郎たろう君とも、今こうやって。


 そして彼女がいなかったら、ウメチカも誕生していなかった。……元はといえば、彼女が『書くと読む』でエッセイを連載していたから。だから、だからなの。



 本当は、僕も梨花みたいになりたかった。


 或いは、梨花は僕の憧れ……だったのかもしれない。


 兎にも角にも、僕にもう一度……もはや過言でもない『生きる勇気』の灯をともしてくれたのが梨花だった。梨花の思い溢れるエッセイで、幾度も涙していた。


 ママのお腹の中で、一緒にいた存在。


 同じB型の血液型。赤い糸は血の繋がりも象徴しているように思えた。境遇も経験も考え方も、趣味に至るまでも異なる僕らだけれど、引き合うもの。引力を感じていた。


 ――きっと、こうして僕らは再会するために。


 異なる環境下で、お互いの道を歩んでいたのだと思う。時期を見て、お互いの物語が輝ける合体を果たせるようにと。……生命の神秘にも似たギアが、噛み合うようにと。



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