第三四〇回 思えば、今日は一日目。


 ――見事なまでの、雪景色。サラサラ……そしてキラキラと粉雪舞い散る。



 肌寒い感じだけれど、ポカポカと温い。


 僕は今、この大自然の中を、一糸まとわぬ姿で満喫している。つまりは露天風呂の中へと裸体を浸かっている。それは、僕の裸体……誰もいない場所。ううん、たぶん見られているの。小鳥さんにも小熊さんにも。ザバッと立ち上がると湯煙の中で、粉雪運ぶ風たちは火照る体を覚ましてくれる。そして待ち人来たる、太郎たろう君……



 触れる肌と肌。重なる唇と唇……接吻、チュー、キス……そして「ゴチン!」という脳内に響く効果音とともに「痛っ!」という僕の声。でっかいスノーボールと思いきや、


「おいおい、開始三分で寝る奴があるかよ」


 と、その太郎君の声は拳骨も込みだった。ぼんやりとまだ……脳内は夢現だけれど、


「あっ、ごめん……でも太郎君、ちょっと激しかったから」


 ポッと火照る顔。その余韻残るほど……


「なんちゅー夢見てるんだよ、悩ましい声まで出してまあ……周りに聞こえたら、変な誤解されるだろ? 俺は、真面目にお勉強してるの。それとも気分転換するのか?」


「……そうだね、気分転換。

 今はまだ、お勉強に集中できないから……」


「じゃあやるか、気分転換。レッツショータイム、レッツプレーだ千佳ちか


VSたいウメチカ戦』に勝つためのお勉強を。お勉強は稽古にも通じるからな。レッツ日々精進の道を」


 ――それこそ、カントリーロード。


 自身の開拓の道を歩み行くその姿。これより先も革命を起こし続ける。レボリューションの道を歩みゆく。僕がジャッジメントできるように、成長してみせる。


 自身の青春に縁するものすべて、全部やると心に決める。その暁には、皆一緒に笑い合いたいから。……涙よりも、笑顔溢れる暁を飾りたいから。



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