第三一四回 きっとね、ワンダラーズ。


 ――黄昏が近づくお空。


 教室ではもう、今日の日に別れを告げる挨拶が交わされていた。



 でも、それは今日だけに適用。


 また明日ね。……という暗黙の了解も含まれている。僕は、この学園に通ってから、そのことを胸に刻むようになった。教えてくれる人がいたの、とっても身近な人だから。


 ここからは、

 ずっとその子が一緒だから……



梨花りか、大人って……いっぱい恋をするんだね」


「どうしたの、唐突に? 藪からスティック出したりして? エッチなこと考えてた?」


 ハッとなり、その梨花の言葉に、

 ギュッとするほどに、顔が熱くなって、


「もう、真面目に訊いてるの! 藪からスティック……スティックなんて……

 僕ね、まだ子供のままがいい。梨花みたいに女の子同士じゃなくって、ちゃんとした恋愛。中学生らしいお付き合いを太郎たろう君としていくんだから」


 って勢い任せだけれど、これ言うの、もっと恥ずかしくて自爆。


 でも、梨花はクスッと笑っているの。大人の余裕? って、梨花こそ僕と同い年……

 まだ子供じゃない。一緒にお風呂に入って洗いっこしても、僕とそんなに変わらない。


千佳ちか、本当に可愛いね。恋愛の対象は様々だよ、最初はお友達から。それって女の子同士でも関係ないじゃない。……ただね、お友達の『好き』と、ちょっと違う『好き』が進展しただけなんだよ。これって男の子も女の子も関係ないよね? 千佳が太郎君のことを想うように……僕もまた可奈とは同じ。ただ男女の違いなだけでね、千佳と同じなんだ」


 想うのは、その人を愛しているから。


 何となくだけれど、少しだけ……わかったような気がした。




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