第三〇八回 その日、夜のことだった。


 ――崩れた体調も落ち着き、スヤスヤと眠りに就いて、また目を覚ました時だ。



 僕の枕元……まずは時計、ミッドナイトを示していた。十三日という日付変更線を越えて今はもう十四日の月曜日。明日がもう今日で、僕は今日は……学校を欠席する。


 お母さんが大事みて、

 ……僕に欠席を促した。梨花りかも、そうした方がいいと言っていた。



 だから寝巻の、白くてダボダボの長袖ワンピースのまま起きて、古時計の前を通りかかる。トイレへ向かうべく……そして、その付近に飾られている男の子の写真。


 その写真の男の子は、お母さんのお兄ちゃん。

 僕の……おじちゃん。星野ほしの旧一もとかずという氏名の旧一おじちゃん……


 また会えたの。Xマスより一足お先に。

 何となくわかるの。そんな予感は心の片隅で過っていたから……


「察しの通りだよ、千佳ちか。僕が幽霊じゃなくサンタさんだったら、間違いなくプレゼントしてあげたのにね。サヨナラを言いに来たんだ。僕の行く先が……決まってるから」


 おじちゃんは、とても優しそうな表情で、そう言った。門出の刻も迫っているようだ。

 だから僕は……僕はね、


「全然違うよ、察しの通りなんかじゃない。旧一おじちゃんは僕に、たくさんのプレゼントをしてくれたよ。赤い靴下なんかに入り切らないくらい、いっぱいに。……葉月ちゃんの願いを叶えてくれたこと。それは――『魂は永遠だから』という葉月ちゃんの大いなる願い。……なら、サヨナラなんかじゃないよ。おじちゃんの願いも、叶ったんだね」


 ――来世に生まれるという願いが。何十年に渡ってやっと。


 もしも生まれ変わりが存在するなら、あなたは信じますか? ……僕は信じたい。ううん、信じるよ。きっとティムさんの子として生まれくることを。……また繋がるの。



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