第四十八章 そして梅田から、星野へ戻る日。

第三〇七回 それは、十三日の日曜日。


 ――師走の晴れた朝。


 背中の圧迫感と息も、姿勢によっては苦しく……お布団から出られないまま、ビッグなウインドウから見える景色は明るさを変え、趣を変え……昨日から今この時を迎える。


 枕元には、お母さん……

 でも、もうティムパパはいない……別のお家の人となっていた。



 お母さんは、ティムさんを責めなかった。僕と一緒に……笑顔で送り出してくれた。処理された離婚届。僕は少しだけ現実と、少しだけの大人の世界を見たような気がした。


 僕とお母さんの姓は……星野ほしの

 ううん、戻ったのではないの。新しい星野になったの。――梨花りかと同じ『星野』に。


 世に存在する、これで……

 お母さんと新一しんいちパパの……貫いた愛が。


 それが五体満足の健康な体の僕と梨花。一つの叶えた奇跡が、この世に存在することが全国ネットで放映される。従姉弟同士の愛の結晶が、全国へと広まってゆくのだ。


 だからこそ……


「具合どう?」と、お母さんが訊ねる。


「ごめんね、いよいよ引っ越しって時に……」と、僕は答える。


「気にしないの。今は体を直すことを考えて。お母さんね、千佳ちかには感謝してるんだから」


 ……褒められた。


 ……僕のことを。とっても嬉しくて。


「ほらほら泣かないの、まだ辛いの? ……まあ、気候の変化が激しかったからね、それに色々とあったもんね。でもこれからは、あなたのこと、もっと見てあげられるからね」


 ……髪、撫でてくれた。

 そして、元気になったら、またエッセイを更新するね。


 新たなる新居から。新たなる星野から。……でもペンネームは、ウメチカだから。



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