第三〇六回 そして煌めく一番星。そっと言うの。


 ――ありがとう。



 その一言は、僕の想い。続く言葉は……募る感謝の思い。


 だから、……だからね、

 ティムパパを責めないであげてほしいの。ティムパパは、僕のためにパパになったの。


 ……そう、僕を守るために。



 ……出会ったばかりの頃の僕は、諦めていた感じの……でも、それでも心の何処かでは死ぬのが怖くて、生きるためにお金が欲しかったから。きっと何もかもが怖くて……お母さんの暴力、言葉の暴力も。そして死ぬのが怖いのに、無意識に死を求める僕も……


 だからお金。お金があったら、お母さんは喜んでくれる。


 ……きっと、僕はお母さんの暴力から逃れたかった。そして何よりも、僕はお母さんに褒められたかった。明日へ、生きるためのモチベーションが欲しかった。


 だから、パパを欲したの。


 ……思えば、僕の都合の良い我儘だった。知らない間に僕は、ティムパパ……ティムさんを縛って、束縛していた。……ティムさんが、優しすぎるくらい優しい人だから、僕はティムさんに甘えていただけだった。……ごめんね、本当に、ごめんね。


 すると――、


「僕らは別れないよ、千佳ちか……

 千佳のパパではなくなるけど、僕たちはまたお友達だ」


「……うん、またお友達に戻ったね。でも……」


「何だい?」


「今夜はまだ甘えていい? パパでいてくれる?」


「もちろんだよ千佳、残された時間はずっと……」


 そしてお家に帰ると、お母さんが弾む笑顔で「お帰りなさい」と、僕らを迎えた。



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