第二四九回 ジャッジメント! そのわけを。


 彼らが求めていたものは、きっとそれなのだと思う。――ジャッジメント。


 学園の治安を守るための、

 いじめのない世界。誰もが笑顔で通学できる、その学園生活を築くために。



 ……そのために結成されたはずの組織。


 太郎たろう君は語った、僕に。――俺たちみたいに、スクールカースト撲滅が実現した。顔も名も知らぬ遠い過去の彼らの願いを、やっと……俺たちの世代で叶える事ができた。


 そして僕は思う。


 それは、旧一もとかずおじちゃんの願いだ。遠い世代へ託しつつも、僕らを守ってくれた。


 同時に、瑞希みずき先生のお母さんの願い。もう二度と……旧一おじちゃんのように死を選ぶ子がいないように。それはまた瑞希先生の願い。母の意思を受け継ぎ動いた。


 ……


 瑞希先生は語っていた、いつの日か太郎君に。スクールカースト撲滅そのために、そっと語っていたのだ。学校は違えども学校生活を守る心得として、この学園で、遠い過去に起きた大事件……少しだけ過去の、学園を守ろうとした彼らのことを語った。



 とある某深夜アニメのような『ジャッジメント』になりたかった彼ら。そのために築き上げた組織なのに……まるで高度成長期みたいに組織は成長し、繰り返される派閥や組織同士の争い。生徒たちは巻き込まれていた。組織の名は『情報屋稼業じょうほうやかぎょう』……そう呼ばれていたそうだ。稼業というだけあって、お金が絡む。そのためか、とある先生が麻薬密輸に手を染める。その先生もまた『情報屋稼業』の元締め……つまりは首謀者。彼に利用された情報屋も数多く、彼らもその中に含まれる。でも、異変に気付いたのも彼ら、立ち上がったのも彼らだ。麻薬密輸を暴き、食い止めたのだけれど……血は流れた。


 とある先生、麻薬密輸も表沙汰の事件へとなり、学園は警察沙汰になって、どうして学園に血が流れるのかと、当時は先生の、瑞希先生のお母さんは嘆いたという……



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