第二四一回 お友達と遊ぶ感覚。思えば僕の身にも。


 ――普通の付き合い。漫画や僕以外のクラスの子。三人か四人で集まる光景。



 それは仲の良い光景。放課後や休日の遊びの計画。


 ボーリング、カラオケ、エトセトラ……みんなが共通で、みんなが楽しめるもの。それが思いつかないの。僕には無縁だと思っていたから……でも、どうだろう、この夏。


 もう憧れや、夢の境地ではなくなっていて、

 もう僕の手の中へ、身近なもの、僕のものになっている。その境地を入手だ。



 ……そう、手に入っている。


 みんなが、ここにいるから。そして、またまたお家。太郎たろう君のお部屋の中だ。昨日に引き続き今日も訪れることとなった。これでも、さっきまではボーリングしていたの。


 察しの通り、生まれて初めてだ。


 おばさまも、一緒。……本当なら『親子水入らず』だったのかな?


「何言ってるの」と、おばさま。


「へっ?」と驚いて、きょとんとしてしまう僕。その時の表情は、太郎君の承認付き。


「なんて顔してるんだ? 本番はこれから」と、その時の台詞に、表現されていたね。


 ――太郎君の。それでもって、その続きはおばさまへと委ねられていて、


「ここまで来たら一蓮托生よ、千佳ちかちゃん。

 今日もやるよ、人生ゲーム。さあさあ、お家に帰って第二ラウンド開始よ」


 という始末だ。そして太郎君はポンと、僕の肩に手を置き……置いてね、


「そうだぞ、おかんの言う通りだ、千佳、

 勝ち逃げは許さないからな。……ほんと、どこが初めてなんだよ。投げるも投げるもストライクばっかで、余裕綽々で勝ち抜きやがって、おまけにお前だけ景品とは……」


 そうなの。金メッキのね、トロフィーが輝いているの。お店の人からもらったの。


 あっ、そうだ。今度みんなでバッティングセンターもいいかもね。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る