第二三三回 お昼のワイドショーみたいな真昼のニュース。


 ――僕らの世代は知らないと思うけれど、その昔は心霊写真が取り上げられた。



 そうだね、ちょうどお母さんの世代かな、真夏の真昼のニュースには、必ずと言ってもいいくらい、定番だった。……因みに、僕は苦手。科学で証明できないものは、本当に怖いの。でも、例外もある。幽霊なら……大丈夫になった。でも、その幽霊だけ。



 見た目は少年だけれど、僕の伯父にあたるの。


 いつも僕のことを見守っている、この瞬間でさえもきっと。


 ――旧一もとかずおじちゃん。お盆ももうすぐだから、また会いに来るのかな? ……その答えは、きっとNOだ。僕はもう、一人ぼっちではない。後ろ向きにもならないよ。


 大切な人たちが、いつも一緒にいる。


 だから、もう心配いらないよ。……いずれは、喫茶『海里マリン』のあった場所は、僕らの新たなお家になる。星野ほしの家と梅田うめだ家がともに……いやいや、僕ら家族が一つに纏まるの。



 昔は、銀塩写真。


 残像とか残るのもしばしばだ。……それが大半の原因とも思われる。なぜなら現代はデジタルの時代。写真もデジタル。残像を残すのも極めて難しいはずだ。


 ……でもね、もしも、もしもだよ、


 僕ら家族の写真に、そっと心霊現象があるのなら、それはきっと優しいおじちゃん。


 僕らの家族だから。


 するとね、元気溌剌と可奈かなは言う。……あれ? いつからいたの?


 それは六畳のお部屋、僕のお部屋。僕の背後にそっと潜んでいた。……というよりもだね、「さっきからいたのに千佳ちかが気付いてくれないから。それに、声かけにくい状況のようだから……」ということだ。「どうだね、映り具合は?」と、可奈は問うの。


 おおっ、サプライズ! やっぱりオンラインを仕込んだのは、可奈だったの。



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