第百五十三回 されど、もうカウントダウンは始まっている。


 ――それは言うまでもなく、迫るウメチカ戦。そして、集う強者たちの群れ。



 今はもう日数カウントではなく、四十八時間というタイムスに収まっている。


 だけどね、今さらだけれど、


 この期に及んでだけれどね、僕は思うの。僕は℮スポーツのことを詳しく、これまでのお話で描写できていただろうか? ……そこまで言わなくても答えは明白で、


 恐ろしいほど、なかったと思う。


 タグにも℮スポーツと謳っているのに……グスッと、少し泣けてきちゃった。


 PS4・5で使用するキーボードは、通常のPCのキーボードよりも約三倍か五倍は頑丈で、重厚感も半端ないの。安心して激しいタイピングも可能なの。それでもゲームはできるけれど、僕がやるのは格ゲーで瞬発力を求めるから、自ずとコントローラーに頼ってしまうってわけなの。コントローラーだって頑丈よ。PS1や2とは比べものにならないくらいの強度。樹脂ハンマーで叩いても壊れない……って、本当にやっちゃ駄目よ。


 小型レバー二種と十字キー二種、各種ボタン……七種かな? つまりコントローラーこそが、僕のアバターを操縦するに必要なものだ。所謂コクピットの役目を担う。



 ――会場にもモニターを始め、キーボードやコントローラーは、僕が持っているものと同種。可奈かなが『対ウメチカ戦』に合わせて、メーカーから型式まで拘り選び抜いて、設定なども合わしているのだ。場所や環境が異なるだけで、機械の設定や並びとかも同等のものにしているのだ。だから当日で使うものは会場の設備や機械で、必要なものはデーターを起動するためのパスワードなのだ。それは可奈の手の中にある。


 因みに、りかのじかん。でも明かされなかった可奈の誕生日だけど、パスワードの一部ともなる四月二十九日で、やはり僕と梨花よりもお姉ちゃん。なら僕が末っ子。


 太郎たろう君はというと……この間知ったの。さすが可奈、聞きしに勝る情報通だ。


 ――二月二十二日。ええっ! 驚くなかれって、太郎君より僕の方が年上だ。



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