第百五十回 君が、僕の可能性を開いてくれたんだよ。


 ――それはね、心からありがとう!



 生きた心は瞳に……映し出される。それは鏡でもない限り、自分で確かめることはできないけれど心が動く、心から感動を覚える瞬間があった。脳内にも影響する衝撃だ。


 激闘のテーマ、その渦中で、


 お母さんはね、懐かしいと、そう言っていた。


 とある時代劇、その時代劇のファンだったそうだ。……でも、僕は知らない。それもそのはずで、僕が生まれるずっとずっと前で、令和も昭和という時代まで遡る。その頃、お母さんは、今の僕と同じ中学生……きっと、僕よりも大人な中学生のようだ。



 エブリ大好きで、魔法少女もの大好きで、アニメ大好きな僕に対して、


 お母さんはハードボイルド……かな? 時代劇とか、大人っぽいものが好きだったみたいで……だからかな? 女の僕から見ても、まして自分の母親でも、とても綺麗で素敵な女性。きっと僕がもう少し大人になったら、嫉妬するくらい綺麗な女性なのかも……


 僕も……僕も魅力的な女性になりたいと、


 そんな思いが芽生えると同時に、そうだね……今も、僕の傍ら、傍でコントローラーを操っている太郎たろう君の横顔、その目の当たりの画面に集中する瞳……


 何でかな?


 急に胸が狂おしいほど、ときめき? 何か恥ずかしいけれど、疼くものまで感じて。


 ……ううん、今は集中なの、集中。


 再びリピートされる脳内を流れる激闘のテーマ。その時代劇の主題歌をカッコよく、西部劇風にアレンジしたトランペットの音色が冴えわたる内容……その渦中で、これはという必殺技にも似たテーマ。日々綴るエッセイにもテーマを絞るなら、やはりウメチカ戦と通して。僕と太郎君のラブストーリーなのかな? ――このように君は、たくさんの僕の可能性を引き出してくれた。そして、その因は、もう一人のボクッ娘が作ってくれた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る