第百三十二回 もう水無月も末……誕生月どころか、誕生日も近く。


 ――迫る文月。その月の六日で十四歳を迎える。僕ともう一人の僕もまた。



 今はまだ月末……水無月の。今はまだ十三歳だ。そして前々回のお話は二十六日。十三の二倍だ。さらに六が二つ。残る二を三倍にしたとしたら六だから、六が三つで、


 六六六。――なんてカタカタと、


 今日の揺れる電車の中での話題は、まさにそれだった。所謂Oメン……そのことをお母さんに告げたら、「良く知ってたね、それ私らの世代だよ」と、その様に言っていた。


 でも、確か……

 お母さんの世代は、OではなくてGだったと思うけど……


 と、まあ、この様な具合に、この話題の提供者は、お喋り大好きな可奈かなだけど、ある基準から見るとしたら、僕もそうだけど、梨花りかもお喋りの中心者にはなれない。


 性格、またはボキャブラリーに乏しいのかな? でもでも、僕らはエッセイを日々綴っている。……そう、思考を重ね重ね、それはその向こう……


 カタカタと、今宵もまたキーボードを弾き弾かれ、PS4・5の方ではなくて、僕のイメージカラーでもある黄色。そのPCの方のキーボードだ。因みにノート型。


 六六六という数字……

 重ね重ねる思考と……でも、令子れいこ先生の言っていた『本当の意味で笑えること』は、本当に身近で、身近だけれども、数字よりも、思考よりも遥か向こうにあるように……


 そして二度と戻ることのない十三歳のこの時、


 僕は、僕は……残したい。令子先生になら、この身を預けてもいいとまで……その思いが肥大するの、僕の脳内で。あのOメン擬きの二十六日を機に、募り募るの……なぜ十三歳なのか? お話によると、令子先生もそうだったから。それは、この先を占うような直感をも働かせ、僕に強烈なモールス信号を……或いはカラータイマーの赤点滅にも似たような、心を揺さぶることで……なのに今日も、梨花に報連相……心落ち着けるまで、まだ時間がかかりそうだ。されど、そんなには――時間を要しないと、僕は僕を信じる。



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