第二十章 一〇五……ここからは?

第百五回 そして、ここは。


 ……白い景色。今見えるものは、純白に近い白色のカーテン。


 やんわりと風に靡いて。

 まだ午前の風。ほんのりと草原の薫り漂う。お外はきっと、お花畑のようで……



 僕は誘われ下りる、ベッドの上から。そのカーテン開けると、誰もいない。


 まだ浅き眠りの中なのか?

 心地よい夢現の感覚。そんな感じのまま、僕はペッタンペッタンと……ドアを開けてスライドの、開け放ってお外……ひんやりと、廊下を踏む。そして頼りない足取りで、保健室とも医務室とも言われる此の場所を後にして、歩き歩いて、何かに向かう。



 ……何か?


 それは僕にも、わからない? ……でも、ここは学園内。さっきまでは保健室……医務室ではなくて保健室。そうだ、梨花りかが連れてきてくれたのだ。可奈かなも一緒に。


 もう過去のお話なのに、

 僕はまた、発作を起こしたようで……もう思い出せないようだけど、でも、何だか思考は停止気味なようで、ぼんやりと、ぼんやりと……歩き続けている。


 その道中、誰一人と会わない。


 遠くから声は聞こえるけれど、バッタリと会うこともなく未だに。どれくらいの時間の経過なのだろうか? あくまで寝起きから……まだそんなに経ってないと思われる。



 ……フラッシュバック、


 前みたいにきつくはないのだけれど発作……我を忘れる程。治まりはしたけれど、大事見て保健室に連れてきてくれた梨花と可奈。……僕は今、黙って保健室を出ている。


 寝起きのまま、裸足のままで。……制服も乱れたまま、そしてまた冷たい感覚……コンクリート。そこから上がる。この場所は芸術棟。……この学園で始めに来た場所だ。



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