第十五章 お待ちかねの次のステージへ!

第七十六回 思いの外、賑やかな本日のデートの締め括り。


 ――えっ?


 前回からのタイムリーな続き、接触していた唇は離れ、ササッと辺りを見渡すと、

 ……ほらほら! やっぱりだ。



 此処は『最寄りの駅』という名の駅の付近……にある『たこ焼き本舗』から離れて、とある児童公園のど真ん中。太郎たろう君のお家から近くて……僕のお家からも、そんなに遠くはない場所。と、いうことは、可奈かなのお家からも、近いということを意味しているの。


 可奈と言えば、その傍ら、


 きっと梨花りかが潜んでいる。夜の帳、暗闇の向こう……この『たこ焼き本舗』以外は未だ自粛中のため……閉まっている店も多くて、と言いながらも、此処はカントリーなものだから、多いとはいっても知れていて、三軒ほどの料理店。ラーメン屋などもあるよ。


 その陰から、……その陰からなの、梨花の声。


「楽しかったようだね、千佳」


「梨花……どうして?」――ここにいるの? と、言いたかった。姿を現した、やっぱり可奈の傍らにいる。可奈と梨花……二人は百合。今の僕と太郎君のような関係。違いといえば……女の子同士なだけね。もう親友の域を超え、恋仲にまで発展を遂げている。


 その部分からも、梨花は……


 あっ、今はそうではなくて、こうだから……


「千佳の帰りが遅いので、心配してたんでしょ」


 と、梨花ではなく可奈が答えた。でも、その割には笑顔、いえいえ、どちらかと言ったらニンマリの類……うん、間違いなくそうだ。なら、そうならば、


「キスの最中を覗いてて?」


「う、う~ん、それはね」と、さっきの勢いは何処へやら、可奈は答えに躓く。


「まあ、楽しかったんだから……ねっ、太郎君」と、梨花が太郎君へ振ったら、


「まあ、まあな」と、照れているのがもろわかりで、太郎君が梨花へ返事した。



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