第十一章 今更だけど、二人はボクッ娘!

第五十六回 お題は、楽しむことから。


 ――本来なら、待ち遠しいGW。去年のXマスより新しいパパを迎えて、明るい家庭へと、劇的な変化を遂げる僕ら家族が楽しみにしていたイベントの数々……



 遊園地、動物園、デパートで、パパとママと一緒にお買い物などETC。

 温泉旅行……などの家族風呂、


 僕は、パパと一緒にお風呂に入ったことがなかった……


 そうだね、今でも。――小さい頃から、憧れていた。だからこそ、このGWを思いっ切り遊びたくて、右の条々の……以上すべてを……叶えたかった。本当に、叶えたかったの。



 でも今は、


 新型ウイルス感染防止のため、外出の自粛を促されて、さらに『非常事態宣言』が拍車をかけて、僕らにとっては、これまでよりも厳しい『休校の延長上』を余儀なくされた。


 ……GWのイベントはお預け。

 現実には、まだ見通しが立たない。いつ普通の生活に戻れるのか?



 でもね……

 それでもね、梨花りかは「楽しもっ」と言った。


 あのでっかい箱の『バンプラ』を、一緒になって作ることに。きっと梨花だって、パパとママと一緒にGWを満喫……お出掛けしたかったことだろう。



 それでも、僕のために、梨花は気丈に笑顔を見せてくれる。少し前までは正直……梨花のことを『甘えたさんで、頼りない』と、思っていた。……あっ、これ内緒だから。また喧嘩になってしまうといけないから。……そうなの、梨花は怒ると意外と怖いから。


 お姉ちゃんの『威厳』ありありで。


 そして、本当の梨花を知った時、僕はもっともっと梨花のことが大好きになった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る