第五十五回 晴れ渡る青空! 咲き誇る笑顔たち。


 ――そう、どんより曇に覆われていた青空が、その姿を見せた。



 その時、前回からの舞台となる、ベランダと隣接した六畳のお部屋……つまりは梨花りかのお部屋に集う僕らも、雨降って地固まるように、晴れ晴れと笑顔を見せていた。


 そして「おめでとう」と。

 少女から一歩、大人へと近づく梨花に、その言葉を贈ることができた。



 今日の梨花と同じ経験……僕は、一年前にしていた。僕の場合は……思い出すのも辛き出来事の渦中にあったのだけれど、だからこそ、梨花には良き思い出であってほしい。


 そう願うこの日、

 きっと定番と思うけど、笑顔の花を咲かせる僕らに、美津子みつこママは『赤飯』を御馳走してくれた。梨花は、もう大丈夫みたい。お腹も治っているようで、誰よりも食欲旺盛。



 そして、ビッグなウインドウから見えるもの。


 晴れ渡る青空! こんな日は、お外でピクニックへと誘われそうだけど、

 今は自粛……


 僕らには、夏のイベントが待ち構えている。――そう、℮スポーツの大会で、UTウルトラ・タロさんと再び戦いを挑まなければならない。今度こそ、僕らの絆で勝利を収めるのだ。


 その暁に僕らは、

 僕らのお祖母ちゃんに会いに行く。繋がる青空を辿り、北陸の地へ三千里だ。


 すると、机の上には……あっ、梨花の勉強机ね、大きな箱が。


 一足早い子供の日のプレゼントなのだろうか? それとも梨花なりの外出を自粛するための手段なのだろうか? ゴージャスな『バンプラ』……とってもでかいもの。


「梨花、あのね……僕も一緒に作っていいかな? プラモデル」


「うん、みんなで作ろっ、千佳ちか可奈かなも三人で」……笑顔が満開な梨花だった。

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