第五十四回 梨花、涙の言葉。
――それは、とても痛ましく、
……それでも、
「何で来たの?
と、できる限りの力を込めて、
「だって明け方にも拘らず、
とても痛そうに、『血が、血が……』って、泣き声で言うから。で、それでもって『どうしたの?』って何回も訊いてるのに、答えてくれなかったからじゃない」
「……だって、恥ずかしいから」
と、その言葉通りの表情に、梨花はなっていて……って、ええっ? 血が出た、つまりは『出血』……それに加えて『恥ずかしい』&『腹痛』……お腹が痛い、下腹部」
――初潮。
そのワードが脳内を過った時、……
「千佳?」と、こちらを見る可奈に続いて、同じく「千佳?」と、キョトンとする梨花に対して……号泣の域に達しながらも、僕は、
「梨花のバカ! どんだけ心配したと思ってるの? もし……もしもだよ、ウイルス感染だったら、もう会えなくなるんだよ? 僕を……僕を一人にしないで!」
――自分でも驚くほどに、そう怒鳴っていた。
……梨花は、
梨花は涙を零しながら、そっと上半身を起こして、そっと……僕を抱き寄せて……「千佳、ごめんね。一人にしないから、ずっとずっと一緒だから……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます