第二十八回 でも、その前にプロセスを。


 ――と、いうことで、


 前回のお話が飛躍したみたいなので、今一度そのプロセスを振り返ってみよう。



 いきなり五人が揃って『レッツ・ウメチカ』になってしまったわけだけど、

 ……どうやら、僕を驚かせるためのドッキリ! とは種類も異なり、サプライズ! の方だった。――僕は、梨花りかの特性を忘れていたことに気付かされた。


 企みの梨花……

 とはいっても「てへっ」と可愛らしい企み。


 あのホワイトデーの朝、僕が『Eスポ』と『Eスパ』を言い間違えたのは想定外だったようだけど、新一しんいちさんが梨花の手を引っ張って、奥の部屋まで連れて行った時に、


 僕が洗面所で茫然としているのをいいことに、二人の再度たる打ち合わせは進められていたそうだ。……このことは、のちに梨花が種明かしをしてくれた。


 すると突然の、朝早くにも拘らず、


 ……連呼するインターホン。常識またはマナーを知らないの? と、たまらなく胸中で広がり、その勢いのまま玄関のドアを開けた。此処が人のお家、


 ――梨花のお家ということも忘れて。


 するとそこには……えっ? と、またも驚き、オンパレード。


 ティムさんが立っていて……あれれ? その後ろから可奈かなも、ひょっこり顔を出した。


千佳ちか、行くぞ」


 って、ティムさん……パパが言うのだけど、何処へ? そう声にならない言葉を脳内で囁いていたら「ウメチカだよ、ウメチカ。パパも一緒に行ってくれるよ」と耳元で、梨花は息もかかるくらいに囁いた。その感触は、ゾクッ……とするものだった。



 ――と、まあ、こんな運びだ。梨花は僕の知らない所で『Eスポ』と称し、ゲーム機の購入を企んでいた。……あれ? 梨花ってゲームが好きだったっけ? 謎深し。



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