第十九回 リュックの謎が明らかに……の前に、まずは到着だね。


 ――と、そんなわけで、今は梨花りかのお家だ。



 そして、梨花のお部屋の中へと……

 その身を置いている、可奈かなも一緒に。まだベランダのビッグなウインドウをオープンするには、まだ肌寒い……どころかガチガチと、五度も満たない寒さだ。


 実は、さっき試してみた。

 賛否両論ではなく、ここにいる三人ともが同じ答えだ、クローズと。


 お洒落な簡易テーブルの上にNPCノートパソコン……色はピンクで、カーテンと同じ色。――それから髪飾りではなくて、リボンもピンク……ええっ? と、驚いた。


 今いるこの部屋を目の当たりにしたのは、入室したのも初めてではないが、梨花の髪にリボンが飾られているのは初めて見た。少なくとも、僕が見たのは初めてだ。



 大きな鏡が目の前にあるのかと錯覚を起こすほど、僕とソックリのはずなのに、

 僕以上に、……女の子だけど女の子っぽくなって、そのリボンが相応しいほど、

 髪を、僕以上に伸ばしちゃって……本当に、本当、


「可愛いね」と……言葉に出るほど羨ましく、嫉妬するくらいで、


「でしょ?」と、可奈は言う。


 ――あれ? (梨花が自分の意志でしたんじゃないの?)と、思ってしまった。


「可奈の差し金なの?」と、僕の颯爽たる質問。


「ま、まあね」……可奈の仕草からして、色々とあったようだ。梨花も梨花で……何だか恥ずかしそうに可奈から顔を背けている。以前に、初めてこのお部屋を訪ねた時のような気まずさ……二人の濃厚なキスシーン。それが漂う中、多くは訊かない方がよい。


 そう思っていたら、


千佳ちか、そのリュックは? お勉強するには大きすぎるよね?」

 と、梨花が可奈と同じように興味津々で? そう訊いてきた。



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