第四章 春先へ、歩み寄る少女たち。
第十六回 今ここから!
――ここは部屋の中。つい二か月前、僕は生まれて初めて自分の部屋を持った。
パパは言う、
「
今はもう、春先に行われる取り壊しを待つだけとなる。
そのためもあったのだろう、僕たち家族は新居に移る。……そこは、前のボロアパートよりも少し、最寄りの駅から離れた場所。とはいっても、徒歩十分以内に収まる。
そして何と!
ドラッグストアーの裏手にある住宅街、小規模だけど、そこが新居。梨花のお家に行くには、ドラッグストアーよりもまだ向こうの、道路を超えて公園へ……そこに聳え立つ公営住宅の四棟、そこの三階だ。
今日もまた、訪ねる。
今日もまた平日だけど、……実は三月三日より休校となっていた。今のところは、まだ見通しはないけど……ニュース通りなら、三学期から春休みの終わりまでのようだ。
僕はまだ、半年も通っていない。
転校する前の学校と、今の私立
……でも、
転校する前とは違って、今はお友達がいる。――クラスのお友達。中学二年生になっても梨花とは同じクラスで、また
――これまでなかった感覚だ。
まさかの『新学期が、学校が待ち遠しい』なんて、そう思えたのは、初めてだった。
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