第十三回 おどろいた!


 ――きっと、その枠は超えていた。今日は、もう平日……マンデーだ。



 くどいようだけど、祝日でもなく普通に登校日。……感じる憂鬱も、転校する前に比べたら、だいぶ治まっている。いじめの不安もなく、お友達と一緒に登校している。


 ……でも、この頃は、

 いじめとは違う種類の、小さいとは思うけれど、憂鬱を感じていた。



 あの二月二十二日から、僕に対する梨花りかの接し方が変わったというのか……何だか可奈かなに対しても、いつもと違うというのか……どう表現していいのか、よくわからないけれども、梨花らしくないというのか……しおらしいという感じ。


 いいや、俯き加減……という感じなのだ。――それは教室でも同じこと。三学期から担任の先生が変わって寂しいのもわかる。僕と席が隣だから、特に……。



「ちょっと!」


 わわっ、おどろいた!

 いきなり目の前に可奈の顔。


「な、なあに?」と、僕は慌てながらの反応。梨花はボーッと無反応だけど……あっ、ごめん、こうしている間にも梨花の頭の中には、きっと重々しい考えが蠢いている。


千佳ちかもそうだけど……特に梨花! あなたに言ってるの」


「……へっ、何?」


 可奈の大きな声にも拘らず、梨花は頬杖ついたままで、まだ遠い目……


「何じゃないわよ、何で言ってくれないの? 三月三日の『ひなまつり』のこと。どうせ今までしたことなかったんでしょ? わたし、いくらでも手伝ってあげるよ」


「……迷惑かかると思って」


 の、梨花の一言……その直後、ブチッ! と、可奈の方から音が聞こえたような……。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る