第三章 初めての『ひな祭り』

第十一回 夜と朝の間には?


 ――近い未来! 解釈を違えてなかったら『近未来』



 春の訪れに備えるため、

 あのゾロ目企画の『令和二年二月二十二日』以来……僕は今、きっとこれからも、現在進行形で物語を進めてゆく。それはお友達や親友とまた異なる……もう一人の僕だ。


 二月末の今宵を超えて、

 三月始まりの朝を迎える。四年に一度の今日は二月二十九日……閏年うるうどし、閏の日だ。


 僕も、もう一人の僕も、誕生日は今日ではなく、

 冬でもなく、それとは対照的な夏、七月六日だ。……来年は、きっと晴れ晴れだ。


 そこで僕は、その子のために今日、

 誕生日とか何らかの記念の日でもないけど、アニバーサリーなエピソードを更新する。



 ――次は僕だ!


 梨花りかが描いた物語のその向こうへと、

 だからこそ『新章たるウメチカ物語』なのだ。


 ……本当は、出会うはずではなかった僕たち。でも、出会えて良かったの。もし梨花と出会ってなかったら、僕はお母さんのことを……嫌いなままだった。


 そして、僕は僕自身のことも好きになれなかった。



 お母さんは、僕を仕方なく生んだ。本当は生む予定ではなかった。……十三年間、ずっとそう思っていた。夜と朝の間にあるものは、溢れる涙……今まではそうだった。


 ――でもね、これからは違うよ。


 まるで彦星ひこぼし織姫おりひめのような真実。梨花のお父さんと、僕のお母さんの関係……同じ姓を名乗る『星野ほしの』でありながら、親戚の枠を超える『愛』で結ばれたのだから……。


 他の誰かではなく、僕のお父さんが、梨花のお父さんで本当に良かったと思う。



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