第十回 もう一つの『りかのじかん』……結の編。


 ――遂に到来! 昨日の今日なのに、晴れ晴れな世界観。


 お家を出れば広がる。

 雨降って地固まるように、う~んと、伸び伸び。今日は、令和二年二月二十二日。



 背中に人生……ではなくて、ピンクのリュック。僕は今、この持ち主のお家に向かっている。星野ほしの梨花りかという女の子。――でも、どの様な顔をして会ったら良いのか……悩んでいて、可奈のお家を経由する。するとね、可奈かなも一緒に来てくれることになった。


 昨日のこと、

 それは、僕に衝撃を与えた。


 きっと梨花は、もっと、それ以上の衝撃だったのだろう。――これまで普通に日常生活に於いて、何の疑いもなくママと呼んでいた人が……ママではなく、おばさんと呼んでいた人が実のママ。……それも、僕のお母さん。


 ――あの日、遠いあの日かな? 僕は、『僕のお父さんはどんな人なの?』と、聞いたことがあった。僕はただ、お父さんのことを知りたかっただけだった。相手が誰かわからないシングルマザーだからって、お母さんを馬鹿にされたくなかった。


 それが、こんなことになるなんて……



千佳ちか、あくまで普通、いつも通りにね」

 と、可奈が言う。……察してくれたの。もうすぐ梨花のお家だから。


「うん」


 心は、少し軽くなった。……ううん、とても軽い。足取りでさえも楽になる。


 これからも同じように、……僕たちはお友達。


 その想いを君に伝えるため、僕はエッセイに載せるよ。――今、この玄関のベルを高らかに鳴らせば君と一緒に綴る。もう一つの『りかのじかん』を、ここからまた。


 ――まずは令和二年二月二十二日、二十二時二十二分! 僕と一緒に更新だ。

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