エ キ ス ト ラ は そ の 瞬 間 、 主 役 に な る

最後の瞬間に、心が沸き立ちます。
物語とは、こうでなくてはいけない。
物語を追うものは、きっと胸の奥で快哉を叫びます。

本作が描くのは、うだつの上がらない助監督、邦彦の慌ただしい一日。
三年前に籍を入れただけで、夫らしいこともせず妻の和美に暮らしの面倒をみてもらっている始末です。

それでも、邦彦は映画監督になる夢を諦めきれない。
結婚式さえ挙げていない妻に負い目を感じつつ、その日も過酷な仕事へ向かうのです。

よくある話かもしれません。
確かに本作はステロタイプの業界物語でしょう。
では、どうしてそんな何度も見たような話が書かれ続けると思いますか?
決まっています。
訴求力が、半端ないからです。

小難しい理屈なんかより、ずっと直接に普通の人の心を打つからです。
そんな馬鹿力で圧倒する多幸感が本作のラストには待っているんです。

ほんとうに最高なのが待っているのです。
だから、みんなが読んだら良い。
そう思うばかりなのです。